「廃車」と聞くと、もう今後使用することのできない車という状態を想像される方がほとんどかと思います。しかし、廃車といってもいくつかの種類があり、車をスクラップにする方法だけではありません。廃車した後も、将来的に再使用できる方法もあります。
こちらでは廃車にはどのような種類があるのか、また廃車した車を再度使用することができる廃車の方法について詳しく解説いたします。
長期間使用しない自動車は一時抹消登録
廃車には3つの種類があります。
廃車の種類毎に申請する手続きの名称が異なり、永久抹消登録・一時抹消登録・解体届出と、それぞれ廃車手続きとなるものの、必要な準備や手続きの結果が異なります。
3種類の廃車手続きについて
永久抹消登録とは、使用済の自動車をすでに解体していることを前提に行う廃車手続きです。解体済みだけでなく、災害等により車が走行できなくなり、二度とその車を使用することがない場合にも同様に永久抹消登録手続きを行います。
一時抹消登録はどのような場合に行うのか

前述のとおり、再び使用する可能性がある車を廃車する時は、【一時抹消登録】を行います。例えば下記のような場合は、一時抹消登録されることをおすすめします。
- 出張で海外に長期間行くことになったが、帰国すれば再度車に乗るつもりだ
- 病気のため、長期入院しなければならない、一時退院では車使わない
- 盗難に遭って手元に車はないけれど、見つかればまた乗りたいと思う
もしも上記のような状態の時に一時抹消登録を行わず、そのままガレージに置いておくなど手続きを放置すると、自動車税や自賠責保険料の支払いは継続して必要となってしまいます。一時抹消登録をしておけば、自動車税や自賠責保険料の支払いをストップできるため、不要なコストの削減が可能になります。一時抹消登録は「一時的に登録を抹消しているだけ」ですので、また使用したいと思った時に再登録をすれば、再度公道を走行することも可能です。
中古車新規登録をすれば再使用ができる
一時的に使用を中止するため一時抹消登録を行った車を、再び使用するために必要となる手続きについて、こちらで解説いたします。
一時抹消をした車は、【中古車新規登録】という手続きをすれば、再度公道を走行することができます。中古車新規登録は、自動車の所有者が現在住んでいる地域を管轄する運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)に行って、手続きを進める必要があります。その手続きの流れが下記になります。
- 自動車保管場所証明書(車庫証明)を手配する
- 申請に必要な書類を準備する
- 仮ナンバーの申請と自賠責保険の加入をする
- 運輸支局(軽自動車検査協会)で車検を受ける
- 中古車新規登録の手続きをする
以上が、中古車新規登録のおおまかな流れです。では、1から順に詳しくご説明させていただきます。
1.自動車保管場所証明(車庫証明)を手配する
まずは、再使用する車の保管場所を管轄している警察署に行って自動車保管場所証明申請を行い、自動車保管場所証明(車庫証明)を取得しましょう。車庫証明の申請時に、車の保管場所の所在図とその場所での車の配置図を記載します。戸建て住宅の駐車場等がない場合は、月極駐車場等契約してから車庫証明を取る必要があります。車庫証明の申請手数料は地域によりますが、およそ2,000円程度となっています。申請後、取得までに3~7日程度とかかりますので、まず最初に車庫証明の申請を行いましょう。
2.中古車新規登録の申請に必要な書類の準備をする
次に、中古車新規登録の申請に必要な書類の準備をします。
書類 | 備考 |
---|---|
登録識別情報等通知書 | 登録識別情報等通知書は、一時抹消登録をした際に運輸支局で発行される【一時抹消登録済の車という証明】です。 |
新規登録申請書 | OCR申請書第1号様式シートのことです。運輸支局での配布、またはウェブサイトでダウンロードし印刷した書面も使用可能です。 |
手数料納付書 | 所定の手数料分の自動車検査登録印紙を手数料納付書へ貼付けます。 ・新規登録手数料 OSS申請:500円 窓口申請:900円 左記以外:700円 ・検査登録・審査証紙代 普通車:2,600円 小型車:2,500円 |
自動車重量税納付書 | 所定の税額分の重量税印紙を購入し貼付けます。(車の車重毎に異なる) |
所有者の印鑑登録証明書 | 発行から3ヶ月以内のもの |
所有者の委任状 | 代理人による申請の場合に限り必要、所有者欄に実印の押印 |
自動車保管場所証明書 | 前項の自動車保管場所証明(車庫証明)、証明の日から概ね1か月以内のもの※適用地域外の場合に限り使用の本拠の位置を証するに足りる書面を準備する |
保安基準に適合していることが確認できる書面 | 合格印のある自動車検査票 または 有効な自動車予備検査証 または 乗用車で保安基準適合証の交付を受けた自動車にあっては有効な保安基準適合証 |
また、これに加えて所有者と使用者が異なる場合は、使用者の住民票もしくは印鑑登録証明書(法人の場合は登記簿謄本)と使用者の自動車保管場所証明書(証明の日から概ね1カ月以内のもの)が必要です。
3.仮ナンバーの申請と自賠責保険の加入
中古車新規登録をするために車を検査場まで運ぶ必要がありますが、一時抹消登録中の自動車はそのままでは公道を走る事ができません。したがって、仮ナンバーの申請と自賠責保険の加入が必要となります。仮ナンバーは各市区町村の役所又は運輸支局で、自賠責保険は各保険会社で申請ができます。ただし、仮ナンバーの有効期間は5日を越えることはできませんので、必要最小限の日数期間中に中古車新規登録が完了できるように注意しましょう。
仮ナンバーを取得するには、自賠責保険証・自動車車検証(一時抹消登録時は登録識別情報等通知書)・身分証明書(免許証等)・自動車臨時運行許可申請書(当日各役所の窓口で取得可能)が必要です。仮ナンバー取得費用として、車両一台につき750円の手数料がかかります。
4.運輸支局(軽自動車検査協会)で車検を受ける
一時抹消登録をした自動車は、再度車検を受ける必要があります。車検は、運輸支局内(軽自動車は軽自動車検査協会)で受ける事が可能ですので、自動車を持ちこみ必要書類に記入して車検を受けましょう。ここで車検を受けて合格すると、中古車新規登録に必要な「自動車検査票」に合格印が押印されます。
5.中古車新規登録の手続きをする

全ての書類が揃ったら中古車新規登録の手続きを進めましょう。書類などに不備がなければ、その場でナンバープレートが発行され自動車に取り付けてもらえます。ナンバープレートを取り付けてもらえれば、中古車新規登録が完了です。その後は公道での走行が可能になりますので、自由に走行していただけます。
まとめ
こちらでは、一時的に使用を中断する車の手続きを行う時の【一時抹消登録】手続きと、一時抹消登録をした車を再度使用するために行う【中古車新規登録】手続きについて、詳しく解説しました。
長期出張や入院等で車を一定期間使用する機会がないのであれば、自動車税や保険料などを車が不要になっている期間中支払わなくても良いように、一時抹消登録手続きをしておくことをおすすめします。その後、車を再度使用する時は、必要な書類を揃えて運輸支局(または軽自動車検査協会)で再車検を受けて、中古車新規登録を行いましょう。ただし、一時抹消登録した後に、車の利用機会がなくなってしまい不要になった時は、中古車新規登録をしなくても抹消登録済の車の買取りを依頼する方法がありますので、車買取り専門業者に相談されてみることをおすすめします。