自動車の検査は、一定期間ごとに受ける必要があり、保安基準を満たしていなければ公道を走行することができません。車検といわれていますが、正式な名称は自動車検査登録制度という制度のことです。車検は、車のユーザー本人が検査場に車を持ち込んで受けることもできますが、多くの方はディーラーや車検センターに依頼しています。
こちらでは、ディーラーに依頼して行う「ディーラー車検について」詳しく解説します。
ディーラー車検に必要な書類とは
ディーラー車検とは、車の販売ディーラーに車検時期になると車を預けて、検査をしてもらう方法です。新車購入時にお世話になった店舗に依頼ができるため安心感もありますし、必要な部品はメーカーの純正品との交換をしてもらえます。また、該当メーカーの専門担当者が車検をしますので、点検の質も高いことが予想されます。その分費用が高いという点のみネックになると言えるでしょう。
こちらではディーラー車検の前準備となる、必要なものについて解説します。
ディーラー車検を受けるために必要なもの
ディーラー車検に依頼する際に必要となる書類は、以下の6つです。
- 使用者の印鑑
- 自動車検査証(車検証)の原本
- 自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証)の原本
- 自動車税納税証明書
- メンテナンスノート
- 車検費用
使用者の印鑑
まず、使用者の印鑑を用意しておきます。個人の場合は認印、法人の場合は会社の角印が必要です。車検の申込時は実印である必要はありませんが、認印のなかでもシャチハタ(インク浸透印)は避けたほうがいいでしょう。
自動車検査証(車検証)
自動車検査証の原本を提出します。車検証は、前回の車検時に問題なく車が保安基準に適合していたことを証明する書類となっています。紛失してしまっている場合は再交付をしてもらう必要があります。
自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責保険証)
車検の有効期間の一日以上の加入が必要とされている強制保険が自賠責保険です。必ず加入しなければならない強制保険ですので、ディーラー車検の場合は、ディーラーから提携する自賠責保険を紹介してもらい、その場で継続契約をすることもあります。車検期間よりも一日以上の期間、自賠責保険に加入していなければ車検を受けて新しい車検証の交付を受けることができません。
自動車税納税証明書
自動車税の納税が正しく行われているかどうか確認する為の証明書となっており、以前までは車検を受ける際に提示が必要とされていましたが、普通自動車については平成27年4月より、軽自動車については令和5年1月より、オンラインでの確認ができるようになったため、原則不要となりました。
ただし、車検を受ける時期によっては、納税を終えてからオンラインに反映されるまでに時間がかかるため、確認がとれない場合があります。車検を受ける時期が納税時期とあまり間がなく、オンラインでの確認が間に合うか不安という方は、納税通知書と一つになっている納税証明書を提出できるように保管しておきましょう。
メンテナンスノート
メンテナンスノートとは、新車購入時から車載されている車の記録簿です。メンテナンスノートのなかには、メーカーの保証書や日常点検整備の方法、点検日の時期と項目、点検整備記録簿といった内容が記載されています。点検整備記録簿は、これまでのオイルやブレーキパッド等の交換時期、点検時の走行距離なども記載されているため、売却する時に買取店への情報や再販時の信頼性にもつながるため必要とされています。
車検費用
車検費用は、法定費用・車検基本料金・整備費用が含まれます。法定費用は、車検方法を問わず同じ料金がかかる固定費用のことです。法定費用の内訳は、自動車重量税・自賠責保険料・検査登録印紙代となっています。車検基本料金には、車の基本性能を点検する定期点検料や、国の定める保安基準に適合しているか検査する継続検査料、ディーラーが運輸支局で手続きを代行するため代行手数料などがあります。整備費用の内容は、車検で必要となった整備によって異なり、部品交換や整備が必要な部分があった場合は、部品交換賃や部品料金がかかります。ディーラー車検の場合、基本的にメーカーから純正パーツを取り寄せて交換となるため、一般的な車検センターに比べると高額になりやすいです。
ディーラー車検の流れ
実際に、ディーラー車検を依頼するとどのような流れで行われるのかを解説していきます。
ユーザー車検や車検専門店では、日帰りで車検ができる業者もありますが、ディーラー車検にかかる日数の平均は2~3日となっています。当日で終わることが少なく日数がかかる分、車検期間中手元に車がないと困る方も多いでしょう。そのため検査手数料の中に代車料金が含まれていて、車検中は代車を貸し出すディーラーも多くなっています。ディーラーによっては代車が別途料金がかかったり、違う場合もありますので確認することをおすすめします。
ディーラーの検索、見積もり依頼・予約
各都道府県にディーラーは複数ある場合がありますが、ディーラーによって「検査手数料」や「点検料」「整備料」等が違うことがあります。例えば車検整備場を併設するディーラーと、整備場がなく別途発注するお店ではかかる費用が違うため、同じメーカーのディーラーでも費用差があります。まずはディーラーに「車検の見積もり依頼」をとり、見積もりに納得したお店で来店予約を事前にとりましょう。
入庫・受付
事前に予約した日にお店へ入庫します。車検切れなどで公道を走行できない場合は業者にレッカー車で引き取りにきてもらうか、仮ナンバーを取得して入庫します。入庫後、必要な書類を揃えて受け付けを行います。この時、車検作業終了まで何日かかるか、車検終了後に引取に行く必要があるのか確認します。車が必要な生活や地域にお住まいの方は、予約の時点で代車も予約するようにしましょう。
点検・整備
ディーラーの点検整備担当者が、国の点検項目に従って分解・点検を行います。
立ち合い・整備
点検中に整備が必要となると、ディーラーによっては、立ち合い説明に呼ばれます。
車の状態や整備の必要な個所の説明を受けることができるので、立ち合い説明を行っているディーラーを選ぶのがよいでしょう。車の状態によっては合格のために整備を行う必要があります。
完成検査・車検合格
機器検査(テスター)で検査を受けます。車検の結果が合格となり、車の状態等の報告を受けます。今後のメンテナンスなどについての説明があります。
清算・車検終了
車検費用の清算を行い、適合標章(仮車検証)の発行を受けて車検は終了です。ディーラーによっては、自宅や車の保管場所(駐車場)まで車検後に車を届けてくれる場合もあります。また、車検中に代車を借りている場合は、車検終了時に返却を行います。引き渡しの前に、ご自身で使用したとみられるガソリン分は給油をしてから代車を返却しましょう。
車検証の交付
後日、新しい車検証が郵送で届きます。新しい車検証を車に乗せて、車検の全ての行程の終了です。
まとめ
こちらではディーラー車検を受ける前準備として、必要な書類は何があるか、ご説明しました。ディーラー車検の流れでも解説したように、ディーラー車検はユーザーの手間がかからず、必要なメンテナンスを受けられて、代車などのサービスもあり質も高いことから安心して任せることができます。ただその反面、車検にかかる費用で他社と比べると最も費用が高くなる可能性があります。車の知識があまりない人や、車に時間をかけられない人はディーラー車検で任せてしまうのも手ですが、出費が厳しい場合はユーザー車検を受けるという手も検討してみてはいかがでしょうか。